行政書士法と公認会計士法を検討する。
監査は、公認会計士の独占業務と誤解されていることが多いと考える。公認会計士法第2条第1項に業務として「公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。」と定められている。同法第47条の2において「公認会計士又は監査法人でない者は、法律に定めがある場合を除くほか、他人の求めに応じ報酬を得て第2条第1項に規定する業務を営んではならない。」と規定されているので、「財務書類の監査又は証明をする」ことが公認会計士の独占業務で公認会計士等の資格が無ければ報酬を得て行うことはできない。
行政書士法は、行政書士業務について同法第1条の2に「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類・・・・・その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。」と規定され「事実証明に関する書類の作成」が行政書士の独占業務になっている。事実証明に関する書類の作成をするためには事実調査又は事実監査を行わなければ作成ができない。従って、会計監査ではなく業務監査は行政書士の業務であると解釈することができる。公認会計士法第47条の2には「・・・法律に定めがある場合を除く・・」と規定され、その法律には行政書士法も含まれ、行政書士法に定める事実証明に関する書類を作成するための行政書士の業務監査を禁止していない。
行政書士法には、前記のとおり事実証明に関する書類の作成を業とする旨が定められているが、事実証明そのものは規定されていないが、書類作成のための関連業務として又は書類作成の前段階として業務を行うことができると解する。